カイツブリの雛の誕生 [寺家(じけ)]

これまで何度か断片的に寺家のカイツブリの様子を伝えて来ました。今回はそのカイツブリのその後、とくに雛の誕生についてまとめて述べたいと思います。

これは以前にも使った写真ですが、2月から寺家の大池で1羽寂しくパートナーの飛来を待ち続けていたカイツブリです。みんなで「あれはカイツブリの寅さんだよ、なかなか嫁さんが見つからないね」などと話をしていました。ところが、あとで分かったのですが、このカイツブリはメスだったのです。それ以来“寅子さん”と呼んでいます。
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5月3日、ついに寅子さんに待望のパートナーが現れました。2羽はすぐに巣作りに励みました。卵を産み抱卵を始めましたので、無事に雛が生まれることをみんなが期待していました。
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ところが、それからの一月半ほどは苦労の連続でした。巣が大風に巻き上げられて卵が水没したり、蛇に卵を飲まれたりして、20個近くの卵を失ってしまいました。そして巣は5回も作り直しました。

これは、池の中に打ち込んである杭の上に作った巣の上で交尾しているところです。やっと安定した巣を作ることができました。
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この巣の上で5個の卵を産みました。卵は6月20日、22日、23日、24日、27日にそれぞれ1個産みました。これまで何度も卵を失っていますので、今度こそ無事に雛が孵ってほしいと、みんな祈るような気持ちで見守りました。
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池の緋鯉も「頑張ってね!」と応援しているようです。
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連日35度を超える日差しが続き、卵が温まり過ぎるのか、時折こうして巣の上に立ち上がって羽根をバタバタさせて扇いでいました。
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そして7月10日、無事に待望の雛が生まれました。最初の卵を産んでから20日目のことです。生まれてすぐに小エビを餌として与えています。
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7月11日、2羽目が誕生しました。
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お母さんの背中に乗って満足そうです。
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それにしてもカイツブリの足はすごいですね。この水掻きを使って潜るのですから、水中でも速く泳げるわけです。
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7月13日に3羽目が誕生しました。
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親のほうは給餌がたいへんになってきました。
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親鳥の運ぶ餌が待ちきれなくて、巣の上に立ち上がってしまいました。
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7月14日、4羽目が誕生しました。4羽の雛をうまく背中に乗せています。
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7月16日、ついに5羽目の誕生です。卵の殻を破って顔を出したばかりの雛です。初めて見る外の世界です。
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最後に生まれてきた雛の様子を、先に生まれた兄弟姉妹と親鳥が心配そうに見ています。
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今回生まれた5羽の雛は、卵の順番と孵化の順番が入れ替わっていないとすれば、19日の抱卵で生まれたのが2羽、20日で生まれたのが3羽です。カイツブリの抱卵期間は3週間程度と言われていますので、妥当な期間と言えます。

ところが、せっかく5羽目が生まれて喜んだのですが、残念なことが起こりました。生まれたその日の午後から5羽目は行方不明のままです。見ていた人の話によれば、5羽の雛が親鳥の背中に乗って池の奥に行き、戻ってきた時は4羽しかいなかったそうです。5羽目の雛が背中から落ちたことに親鳥が気づかず、そのまま放置したようです。このためしばらく浮いていたものの、体力尽きて沈んだようです。

でも残りの4羽は元気にすくすくと育っています。これは7月17日、最初の雛が生まれて1週間目の写真です。だいぶ大きくなりました。
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これは7月20日、最初の雛が生まれて10日目の写真です。最初に生まれた雛(多分、左奥にいる雛)の体長は親鳥の半分近くになりました。すごい成長ぶりです。
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寺家の大池は水不足で水位が下がりました。このためカイツブリの巣は水面から高くなり、雛たちは巣に登れなくなりました。それを見た親鳥が別の杭の上に葉っぱを積んでもうひとつの巣を作りました。これなら雛も簡単に乗れます。でも巣が小さくて、お兄ちゃん達3羽が乗ると、一番のチビははみ出してしまします。「僕も乗りたいよう~」と言っているようです。これは昨日(7月22日)の写真です。
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親鳥が餌を咥えてくると、雛たちが「僕にちょうだい!」、「私が先よ!」と大騒ぎです。親鳥は大忙しです。
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ここまで育ってもまだ安心はできません。蛇やカラスなど天敵がいっぱいだからです。無事に育って欲しいと祈るしかありません。それにしても、巣が流されても、卵が水没しても、黙々と次の準備にかかるカイツブリの逞しさには頭が下がります。

寺家とその周辺で最近見かけた動植物 [寺家(じけ)]

相変わらず寺家を中心としてその周辺を歩き回っています。最近見かけた動植物をご紹介します。

先日寺家の大池の手前の谷戸を奥へ進んで行くと、何か動物がいました。双眼鏡でのぞいて見るとなんとタヌキです。しかも4匹いました。ゆっくり近づいて写真に収めました。その間、4匹のタヌキはじっとこちらを見つめていました。右から3番目が親狸で、残る3匹が子狸のようです。きっと親狸が子狸たちに、「あんなオジさんに近寄ってはだめよ。狸汁にされてしまうよ」と教えていたのではないでしょうか(笑)。
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以前のブログでもえぎ野公園の可愛いカルガモの8羽の雛の写真を載せましたが、一月半ぶりに再び訪ねてみました。いました、いました。8羽すべてが無事に成長していました。この9羽の集団を見ると、どれが親だか分からないくらいに大きくなっていました。
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同じくもえぎ野公園のバンの写真も載せましたが、そのバンにも雛が生まれていました。2羽の雛が睡蓮の上で餌を探して歩き回っていました。これはそのうちの1羽の雛です。「明日の天気はどうかなあ?」という顔をしていました。
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寺家の熊野谷戸ではゴイサギがいました。おそらく昨年まだ茶色だった幼鳥が成長したようです。青い成鳥の色にはなりましたが、まだ少し色が薄いようです。このゴイサギが田んぼで餌を探していました。泥鰌を見つけて咥えたまでは良かったのですが、泥鰌が嘴に巻き付いて四苦八苦していました。
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また別の日の熊野谷戸では、アオサギどうしが争っていました。縄張り争いなのか、親子喧嘩なのか分かりませんでしたが、追いつ、追われつ、戦いの場所を変えてまでのバトルは見応えがありました。
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これも以前のブログでカイツブリの抱卵の様子を示しましたが、その後何度も巣が流されたり卵が水没したりする苦難がありました。5度目の営巣地でやっと雛が誕生しました。5個の卵を温めていましたが、そのうちの一つの雛が生まれました。この後残りの卵も孵化することでしょう。カイツブリのその後の成長ぶりは次回のブログでお知らせします。
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早野の里山ではツマグロヒョウモンのオスとメスがじゃれあっていました。これは飛んでいるメスの写真です。
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その後、メスは産卵のための場所をあちこち探しながら飛び回っていました。これは上の写真と同じメスですが、蝶々の翅の表と裏の模様はずいぶん違いますね。
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これはアキノタムラソウの蜜を吸うダイミョウセセリです。
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寺家の森の中で見つけたムラサキシジミです。
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早野の里山ボランティアの人たちの活動拠点に行った時、副会長のKさんが杉の木の上を指差して、「あれ蝶々かな、枯葉かな」と言いました。それを聞いて蝶に詳しいSさんが、「あれはオオムラサキだよ!」と興奮気味に叫びました。俄然みんな活気ついて、撮影のための脚立を準備してくれたりして大騒ぎになりました。これがみんなの力を借りて撮影できたオオムラサキのオスです。まだ生まれたてらしく綺麗な翅です。
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オオムラサキも翅の裏表で模様が違います。これが翅の表です。とても綺麗な紫色です。
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寺家の山の中で変わった蜘蛛の巣を見つけました。せっかくなら、もう少し凝ってハート形にしてくれたら楽しかったですね。
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あちこちでヤマユリも開花し始めました。三輪町でも綺麗なヤマユリが見頃を迎えていました。
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コブシの木を何気なく見ていると実が生っていました。コブシの実は今まで気が付きませんでした。ネットで調べてみたらこの中に種子が入っているようです。
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寺家の山の中ではもうタマゴダケが顔を出していました。昨年はたしか9月でしたので、今年はずいぶん早いです。
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寺家とその周辺を歩き回るだけでいろいろな楽しい動植物に出会えます。

ジャコウアゲハの羽化 [命の輝き]

以前のブログにも載せましたが、早野の炭焼小屋のそばにウマノスズクサを植えて、ジャコウアゲハの産卵を助けています。親蝶は匂いでウマノスズクサの存在が分かるようです。その葉にだけ産卵します。何度も産卵して疲れている様子でしたが、最後の力をふり絞って子孫を残す努力をしています。
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葉の裏にわずか直径1.5㎜ほどの小さな卵が産み付けられています。これがジャコウアゲハの卵です。
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卵が孵化すると小さな幼虫が現れます。幼虫もジャコウアゲハの赤と黒の色を受け継いでいます。
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何度か脱皮を繰り返して大きくなって行きます。
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幼虫の最終段階になると口とお尻から糸を出して茎に自分の体を縛り付けます。蛹の状態になって風雨に曝されても飛ばされないようにするためです。
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このあと、最後の脱皮をして蛹になります。
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蛹になって2週間ほどすると色が灰色になります。これは羽化直前の状態です。
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蛹の上の部分が割れて羽化が始まりました。朝7時52分のことでした。
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目もはっきりして触覚もピンと伸びました。生まれて初めて見る外の世界です。
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体が半分ほど出てきました。
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体が全部外に出ました。羽化が始まってからわずか1分です。
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8時14分、生まれて約20分経ちました。だいぶ蝶らしくなってきました。今回生まれたのは雄でした。
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生まれたては目も体もとても綺麗です。
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体が乾いて来ました。もう飛び立つ直前です。
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9時59分、生まれて2時間以上経過しました。翅を大きく広げました。
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10時18分、飛び立ちました! すぐ近くのサツキの木に飛び移りました。生まれてから2時間25分後です。
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この後、大きく羽ばたいて空高く飛び立ちました。近いうちにパートナーを見つけて子孫を残すことになるでしょう。こうして、最初の写真の状態にもどり蝶の輪廻が繰り返されます。

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