北京2018年 [某月某日@中国]

 10月末に北京に行ってきました。北京に行くのは10年ぶりでしたが、その急激な変わりように大きなショックを受けて帰って来ました。とりわけ、キャッシュレス社会、乗り物の電動化、大気汚染の改善は想像を上回るものでした。これらについて述べます。そのほかにもいろいろな変化がありました。

(1) キャッシュレス社会
 日本ではずいぶん以前から言われていながら、なかなか実現しないのがキャッシュレス社会です。でも北京では、すでにほとんどの支払いがキャッシュレスです。
 北京に着いてすぐに、現地中国人からキャッシュレスの話を聞いても、あのしわくちゃの汚い一元札が無くなっていることなど想像もできませんでした。
 キャッシュレスの原動力はスマホでした。どんな小さな土産物屋や個人商店に行っても、写真のような2次元バーコードが貼ってあります。1.JPG
客はそれをスマホで読み取って料金を入力します。店主が入金確認すると売買成立です。
 私のようにスマホに抵抗してガラケイにこだわっていると、北京では生きていけないかもしれません。
(2) 乗り物の電動化
 北京の乗用車の電動化の動きはすごいです。現状ではまだほとんどがガソリン車です。でもこれから車を買おうとすると、ガソリン車やハイブリッド車ではナンバープレートが取れません。抽選だそうです。当選率が1-2%だと言いますから、ほとんど無理です。それに対して電気自動車のナンバープレートはすぐ支給されます。従来の車のナンバーの色が青地に白であるのに対し、電気自動車は緑地に白です。電気自動車は目立ちます。あと2年もすれば、ほとんど緑ナンバーになるでしょう。
 私が駐在中の20年前からすでに電動自転車はありました。今回はそれがさらに普及するとともに、電動バイクが増えていました。バイクのほぼ半数が電動です。写真は電動自転車と電動バイクが走っているところです。電動3輪車も多いです。2.JPG
次の写真は、電動バイクと電動3輪車が止まっているところです。3.JPG
バスの電動化も進んでいます。トロリーバスがパンタグラフを下ろしたまま走っているので、中国人に尋ねたら、バッテリー搭載したため架線から電気を取らないで走っているのだそうです。
 このように、北京の乗り物の電動化は東京に比べてはるかに進んでいます。高度な技術を必要とするハイブリッド化に力を入れている日本は、世界の流れとは違う方向を向いているのではないかと思いました。携帯電話に続いてハイブリッド車もガラパゴス化しないか心配です。
(3) 大気汚染の改善
 20年前、私が駐在中の北京は大気汚染がひどく、とくに冬場はどんよりと霞んでいました。その汚染がさらに進み、数年前テレビで見た北京の景色はとても人が生きていけないように思えるほどひどいものでした。それが今回行ってみると、きれいな青空が広がっているのです。写真は天安門広場の南にある前門です。4.JPG
夕日を受けて輝いていました。以前はこんな景色は見られませんでした。このように空気がきれいになった一番の理由は、昨年から石炭の使用を全面的に禁止したことだそうです。違反すると高い罰金を取られるそうです。市内での工場の稼働を制限したことも汚染改善に効いています。
(4) 地下鉄
 その他にも、10年ぶりの北京の変化は驚くものばかリでした。その一つが地下鉄路線の数です。20年前は2路線しかありませんでしたが、10年前の北京オリンピック直後には7路線に増えていました。それが今回はなんと16路線になっていたのです。東京の地下鉄が13路線ですから、それより多いです。あちこちに地下鉄の乗り場があり、とても交通が便利になりました。
(5)有名大学の見学
 中国でも有名大学に入ることは若者の夢です。このため、最近では北京大学や精華大学には地方の中学や高校から見学に来る生徒が増えたそうです。この写真は、精華大学の校内を見学する中学生の集団です。5.JPG
この中から将来の中国をけん引する逸材が現れるのかもしれません。
(6)日本料理
 綺麗な日本料理店も増えました。20年前にも北京市内に約300軒の日本料理店がありましたが、中国人の作る日本料理店が多く、味は日本料理とは似て非なるものでした。今回は日本人の作る日本料理店が増えていました。店内も綺麗で味も日本で食べるものと全く差がありません。写真のように日本料理店が並んでいるところもあります。6.JPG

 今回わずか3泊4日の短い旅でしたが、それでもいろいろな分野での北京の急速な進歩を感じることができました。逆に、この20年間の日本の進歩は何があったんだろうかと思ってしまいました。日本の「失われた20年」を実感しました。
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