チベットの思い出-1 [某月某日@中国]

中国では10月1日は国慶節とよばれる建国記念日です。1999年の10月1日は中国建国50周年記念でしたので、盛大に軍事パレードが行われました。パレードが最もよく見える長安街沿いのホテルは、通常100ドル程度の部屋がその日に限って3000ドルにもなったそうです。

ともあれ、中国では、旧暦1月1日の春節(旧正月)、5月1日の労働節(メーデー)、それとこの10月1日の国慶節は3つの大型連休となります。通常1週間から10日の休みです。

2000年10月の国慶節休暇の時、当時駐在していた北京の会社の仲間8名でチベットを旅行しました。それまで行ったどの場所とも違う雰囲気のチベットには大変感激しました。
チベットの思い出について述べます。

北京から成都へ飛んで一泊し、朝6時半の飛行機でチベットの首都ラサに向かいました。ラサ到着9時でした。その当時、空港ではパスポートチェックだけではなくビザが必要で、ビザのチェックも厳重でした。中国からみてもチベットは外国なのだと感じました。
ラサ空港に降り立った時、空気の透明さに感激しました。100 kmくらい離れた遠くの山並みが雪を頂き、その稜線がくっきりと青空の中に浮かんでいます。ヨーロッパアルプスやロッキーの山並みも綺麗でしたが、それ以上に空気が澄んでいます。でも、空気が薄いのがわかります。飛行機でいきなり富士山の頂上と同じ海抜3800mの高地に降ろされたのですから、体がついていきません。一歩あるいて一呼吸という歩き方になってしまいます。

空港からラサ市内に入り、一休みした後、ポタラ宮(布達拉宮)の見学に行きました。ポタラ宮は、5世から14世までの代々のダライ・ラマが住んでいた場所です。外見はあたかも城砦のようです。建物は13階建てで、白宮と紅宮に分かれています。ダライ・ラマは政治と宗教の両方の最高権力者でしたが、政治活動は白宮で、宗教活動は紅宮で行っておりました。
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中国ではいろいろな場所にスローガンが掲げられていますが、ポタラ宮も例外ではありません。上の写真の中心から右に延びた帯がそうです。赤字に白の文字でチベット文字と簡体字(現在中国で使われている漢字)で書かれていました。簡体字は日本で使われる漢字とは異なるものがありますので、日本の漢字で書くと、「創建中国優秀旅遊城市」、「加快旅遊産業発展」となります。それぞれ、「中国に優れた観光都市を作ろう!」、「観光産業の発展を加速しよう!」という意味になります。ポタラ宮も観光に力を入れて一生懸命稼ぎなさいということでしょうか。

このスローガン実現のためかどうか分かりませんが、ポタラ宮の入り口付近には多くのみやげ物屋が店を並べておりました。
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これがポタラ宮の中心部の紅宮です。この中に、ダライ・ラマ5世から13世までの棺を安置した霊廟があります。
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中に入ると、線香の香り、赤々と燃える何百本ものろうそく、赤と金色を配色した数々の仏像、仏を守る黄金の霊獣など、ポタラ宮には日本で味わえない独特の雰囲気があります。仏教画も日本で見るものとはだいぶ雰囲気が違います。
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紅宮には代々のダライ・ラマの棺が金箔に飾られたドームの中に安置されています。ドームは仏舎利塔の形をしており、代々のダライ・ラマの霊廟は、一人ずつ別の部屋なっています。一つひとつの部屋がかなり大きく、その豪華さに圧倒されます。

これがポタラ宮の屋上です。一つの屋根ではなく、それぞれの霊廟の上に屋根がついており、屋根の上には塔が聳えています。
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屋上から見たラサ市内です。結構大きな建物や広場が並んでいます。
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これは少し下へ降りてから上の写真の右側を見たものです。手前には官公庁や学校などの大きな建物が並んでいますが、その後ろには小さな住宅が集まっています。
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これは白宮の屋上です。奥に紅宮が見えています。ここで人だかりがしていたので近寄ってみました。
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屋上の修理工事をやっていました。でも、そのやり方はまるで“花いちもんめ”なのです。男と女のグループが右と左に分かれて並んで、一方が何か歌って相手の方に近づき、帰るときに手に持った道具で地面をドンと叩くのです。セメントを流す前の地ならしです。この分では一日掛けてもセメントを流すまで行けそうにないと思いました。でも、よく考えると、時間の効率を考えて一秒でも早くと思うのは、文明に毒された者の思考ではないかとも思えます。チベット時間ではこれで十分なのでしょう。
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ノルウェーもそうでしたが、チベットでも時間はゆっくりと流れておりました。

(続く)

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六日のアヤメ

次々に紹介されるので、ついていくのがやっと・・・・そのエネルギーに感服です。北京駐在は3年あまりだったそうですが、仕事以外に色々な所に観光されていらっしゃいますね。会社の方々に誘われてですか?それとも貴方が興味を持たれ誘われたのでしょうか?
チベットは独立国でなく、現在は中国の領地になっているのでしょうか?どうもあの地域のことはよくわかりません。高地で偏狭な土地ですが、、独自の仏教文化や生活を持っているのでしょう。続きを楽しみにしています。
by 六日のアヤメ (2010-10-01 17:40) 

GGI

kobuさん、nice!ありがとうございます。
六日のアヤメさん、コメントありがとうございます。チベットは独立したがってますが、中国政府は認めないという状況が長く続いています。ダライラマ14世がチベットに戻って独立国になれる日が来るのかどうか、わかりませんね。
中国での観光は私が仕掛けたような、誘われたような・・・。ある日、中国人スタッフと話しているとき、「チベットに行ってみたいなあ」ともらしたことがあります。そうしたら、数ヵ月後、別のスタッフから「こんどみんなでチベットに行こうと計画しています。GGIさんも一緒にきませんか?」と誘ってくれました。
by GGI (2010-10-02 13:54) 

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