モンゴル疑似体験 [某月某日@中国]

また話が飛んで、中国に移ります。
2000年の6月末、私は北京に駐在中でした。中国人社員5名とともに、ば上平原(“ば” は土偏に貝、山の間にある平地の意)に一泊2日のバス旅行に出かけました。北京の北約300kmのところにある平原です。北京から山を5つか6つ越えて行くので、片道6時間以上かかりました。河北省にありますが、内蒙古自治区に隣接しているここではモンゴル様式の生活スタイルが一般的です。モンゴル生活の疑似体験をしました。

九州阿蘇の草千里を何百倍も大きくしたような草原といえば、ここのイメージを理解してもらえると思います。下の写真のように、だだっ広い草原の中に、こんもりした丘(高さは数十~百メートル)がいくつも並んでいます。
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泊まったホテルは大草原の真っ只中にありました。部屋の様式は、普通のホテルスタイル、山小屋スタイル、それとモンゴルの住居であるパオスタイルの3種類がありました。パオは人気があると見えて満室でしたので、山小屋スタイルに泊まりました。ホテルのまわりにはホテルの施設以外の建物は何もなく、草原しかありません。
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ホテルのまわりに数十頭の馬が繋がれており、それぞれ馬方が客を待っていました。客の数より馬の数が多いので、多くの馬方はあぶれています。
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馬方同士10人ほどで競馬をしていました。すぐ横を馬の集団が駆け抜けます。すごい迫力です。ジンギスカンの騎馬軍団を彷彿とさせるものがありました。
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皆で馬に乗りました。それぞれ好きな馬を選んで跨りました。まともに馬に乗るのは初めてです。馬方に引かれてそろそろ歩きはじめました。少し慣れると馬方は轡を掴む手を離し、馬の尻をピシャリと叩くと馬が走り始めました。当たり前のことですが、馬は歩く時と走る時とでは足の動きが全く違います。乗っている者の揺すられ方も全く違います。こちらは振り落とされまいとするだけで精一杯です。でも、若い人はすぐ慣れてしまいます。一緒に行った若い社員は、一時間もしないうちに一人で自由に馬を乗りこなせるようになりました。こちらは3時間たってもまともに乗れません。しかも馬から下りたら、足がまともに動かず、完全に蟹股状態になってしまいました。

夕方は、モンゴル舞踊を見ながらモンゴル風焼肉の夕食を楽しみました。200名ほどの泊まり客が野外のテーブルで食事をしました。普通の焼肉や野菜のほか、羊の丸焼きが8頭出てきました。羊一頭を丸ごと串刺しにして炭火の上で回転させながら焼くのです。テレビでは見たことがありましたが、実物を見るのは初めてでした。焼けたころを見計らって、火の番をしていたおじさんがナイフで肉を切り分けてくれました。すでに調味料が染み込ませてあり、香ばしくてたいへん美味しい肉でした。外国人は私一人しかいなかったので、火の番のおじさんが熱心に肉を勧めてくれました。食べ過ぎました。
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翌朝、4時に起きて草原の朝日を見に行きました。空気が澄んでいて、とても爽やかです。東の空が白んできて、大きな太陽が丘と丘の谷間から顔を出しました。自分の影を見ると、草原の上に百メートルくらい延びています。下の写真の右側にある黒い部分が私の影です。手を上げると、草原の巨人も手を上げます。しばらく子供に返った思いで影と戯れました。
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その時、一人の中国人が颯爽と馬に跨り、長い影とともに草原の向こうに去って行きました。思わず、「シェーン、カムバック!」と叫びたくなるシーンでした。
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六日のアヤメ

中国は広い・・・色々な民族がその地域の自然や気候に合わせて、長い年月をかけて生活を営んできたのでしょうけど、今はほんの一部かも知れませんが観光が主なのでしょうか?そこで働いている人々の住居は別の集落にあるのですか?それともホテルのどこかに住んでいるのかな・・・日本と同じように大手の観光企業がホテルを造り、住民は雇われているのでしょうか?美しい写真を紹介して下さったのにごめんなさいね。科学技術や、通信網がものすごい速度で発達していく中で、それについていけない私などは、これから世の中どうなっていくのかなと言う不安があって・・・・
オーストラリアの真ん中にあるエアーズロックに行った時の光景を思い出しました。
by 六日のアヤメ (2010-08-10 05:33) 

GGI

kobuさん、nice!ありがとうございます。
六日のアヤメさん、コメントありがとうございます。そうですね。ここの景色を見ていると、中国は広いなという実感がわきます。
たぶんこのホテルで働いている人々や馬方の人たちの多くは、この近所の集落に住んでいるのだと思います。もしかしたら、馬に乗って通勤しているのかも知れません。いずれにせよ、ラッシュアワーの電車とは無縁の人々です。
by GGI (2010-08-10 12:59) 

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