敦煌 [某月某日@中国]

井上靖の「敦煌」という小説を読んで以来、敦煌に対する憧れがありました。とくに、膨大な経典が隠されていたという、莫高窟の第16窟と17窟が興味深いものでした。これは、1900年に道教の道士が莫高窟を調べている時に、煙草の煙が壁のひび割れの中に吸い込まれるのを見て、壁で塞がれていた第16窟と17窟を発見し、大量の経典が日の目を見たのです。井上靖の小説では、ここに経典を隠す経緯を詳細に描写していました。予てより一度見てみたいと思っていました。
2001年10月にその敦煌を訪れる機会がありました。第16窟と17窟も見ることができました。大感激でした。

敦煌空港は、写真のような小さな空港施設のあるこじんまりしたものでした。数十人乗りの小型飛行機のタラップの階段を降りて数十メートル歩くと、空港施設です。
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莫高窟は敦煌市内から南東に約15km行った所にあります。これが莫高窟の入り口です。大仏殿になっています。中には高さ33mの大きな大仏様が祭られています。
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莫高窟の全景は下の写真のような形をしています。山の斜面をくり貫いて洞窟がいくつも作られています。中心に見えるのが上に写真を示した大仏殿です。
洞窟の中の壁画はすべて撮影禁止です。何十もの洞窟があり、その壁に美しい仏像や天女の像がたくさん描かれています。浄土とはこういうものかと思わせる壁画もありました。
第17窟は16窟の中の小部屋になっていました。わずか一坪ほどの狭い空間でした。しかし、ここに膨大な経典が堆く積まれていた状態を想像するだけで感激しました。また、特別料金(60元;約900円)を払って見た57窟の菩薩像にはじっと見とれてしまいました。
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莫高窟から北西に20km(敦煌市内からは南に5km程度)ほど行ったところに、鳴沙山という砂山があります。下の写真のような高さ50-60mの砂山が続いています。歩くとキュッ、キュッという音がする砂です。鳴沙山の沙という字は、細かい砂のことだそうです。ですから、沙が鳴く山という意味で鳴沙山と呼ばれているようです。
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この山はどこからでも登れる訳ではありません。普通に歩いて登ろうとすると砂がこぼれてきて、足が前に進みません。階段が作ってあるところを歩いて登ります。ただし、登ろうとすると、おじさんが飛んできて料金を徴収します。たしか、30元(約450円)だったと思います。
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この鳴沙山のふもとに、月牙泉という泉があります。これだけ砂だらけの地形の中で、泉の水が枯れないで残っているのはたいへん不思議な気がします。この月牙泉の畔には美しい楼閣があります。
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鳴沙山の山頂から月牙泉を見ると、このように泉の周りにだけ緑が生い茂っています。このような場所で見る緑というのは、とても貴重な存在に見えます。
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こうして砂山の上に立つと実に不思議な感覚です。大きな山の頂上ではなく、この程度の山の頂上にいると地球を踏みしめているという感じがあります。
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六日のアヤメ

憧れの敦煌・ここにも行かれたのですね。羨ましいです。数年前NHKのBSで全窟を連続して放映していましたが、丁度夕食の支度時間帯で落ち着いて見られなかくて残念でした。このような素晴らしい仏教遺跡が作られたことにただただ驚きとともに敬服します。彩色も美しく残っているようですね。
ご紹介のように砂漠で偏狭な地なのに樹木も生え水が沸き出でているので、このような見事な仏教遺跡が、何百年にもわたって作られることが出来たのでしょう。宗教の力・・・はかり知れないものですね。

by 六日のアヤメ (2010-10-20 06:16) 

GGI

kobuさん、nice!ありがとうございます。
六日のアヤメさん、コメントありがとうございます。敦煌の壁画は素晴らしいです。人の感性は人それぞれですが、私にとっては敦煌の壁画を見て、人の心の琴線を振るわせる絵画とはこういうものだという感じを強く抱きました。
by GGI (2010-10-20 23:04) 

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