中国のトイレ [某月某日@中国]

いまではずいぶん改善されているようですが、私が駐在していた当時の中国では、公衆トイレ(公共厠所)の大のほうにドアがないのは一般的でした。

最近の庶民の家庭では、ウォッシュレットのような温水洗浄便座付のトイレがステータスシンボルだそうです。客が来ると、まずトイレに案内するという話を聞きました。上海万博で何十万円もする日本製のトイレが展示されたというのも、このような中国人の購買意欲をさらに刺激するためのものと思われます。

これは私が駐在するよりもっと前の写真ですが、初めて中国に出張した1990年に撮影した観光地の公衆トイレです。
トイレ.jpg

中国に駐在してからは、中国スタイルのトイレにも慣れてしまいました。市中を歩いていても、気軽に公共厠所に立ち寄ることができるようになりました。北京市内にあるラマ教寺院に一人でぶらりと遊びに行った時のことです。寺院の中にある公共厠所に入りました。日本の観光地のトイレと同じ位にきれいです。ちゃんと個室にはドアもついています。ところがです! せっかくドアがあるのに、そのドアを開けっ放しにして中でしゃがんでいる男がいます。しかも、こっち向いて! 当時、この感覚は私には理解できませんでした。でも、その後、ある人から教えて貰った狩猟民族と農耕民族の話を聞いて納得しました。

上に示した写真で日本のトイレとの違いが二つあります。一つはもちろんドアがないことですが、もう一つは便器の向きです。最近では日本でもほとんど洋式トイレになり、普通はドアのほうを向くか、ドアに横向きに座るようになっていますが、和式トイレの場合はほとんど壁に向かって座っていました。

便器の向きは狩猟民族か農耕民族かによって違っているというのです。狩猟民族は常に襲われることを想定しています。敵は他民族のこともあれば獰猛な動物のこともあります。人は用を足している時が最も無防備になります。このため、狩猟民族は用を足しているときは必ず敵の方を向いて座るというのです。ドアがないのも敵を早く発見するためには重要なことです。防衛本能のほうが羞恥心を上回っているといえます。これに対し、農耕民族は襲われる心配が少ないので、ゆっくり壁に向かって用を足したのです。たしかに、説得力のある話ではあります。

敵に襲われるかもしれないという緊張感を潜在意識の中に持って毎日生きている民俗と、敵に襲われる筈がないと思ってぬるま湯の中で生きている民族とでは、自ずからその生き様が違ってくるのではないでしょうか。たかがトイレの向きかも知れませんが、本をただせば、このことが日本人の現在の平和ボケの源流の一つになっているのかもしれません。

nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 2

六日のアヤメ

中国のトイレですか・・・・15年前苦い思い出があります。
その1・・・トイレに並んでいると後ろの人がピタッとくっついてくる。何か捕ら      れるのではないかと思わずバックを前にかかえなおす。(中国の      人は並ぶときピタッとくっついて並ぶそうです。)
その2・・・上海の劇場のトイレのことです。5人程入れますが、落ちる所        は繋がっていて少し傾斜して川みたいになっていました。、流す      水は一番前の人が流さなければ、そのまま残る仕組みになって      いて困りました。後は想像に任せます。
その3・・・トイレの所におばあさんが座っていて、私を睨み付けながらあの      独特の高いトーンで喚かれました。チップを払わなかったらしい       のです。その後はトイレ用に1回分ごとに紙に包み用意しまし        た。


by 六日のアヤメ (2010-09-23 12:51) 

GGI

kobuさん、nice!ありがとうございます。
六日のアヤメさん、コメントありがとうございます。中国では列に並ぶときに間を空けたら、必ず人が入ってきます。空ける方が悪いのです。同じ長さの列なら、中国人の列の人数は日本人の列の人数の2倍います。
チップは払わなくてもいいのです。相手はだめもとで喚いているのですから、日本語で「ありがとう」と言えばよいのです。
by GGI (2010-09-23 14:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。