オリンピック招致活動 [某月某日@中国]

2008年に北京でオリンピックが開催されました。私は1998年から2001年まで北京に駐在しました。その期間中は、オリンピックを北京で開催しようとするキャンペーン活動が活発に行われていました。その活動と日本の大阪や東京でのオリンピック開催招致運動と比較してみるとだいぶ違いがあります。その時の様子を思い出しながら、書いてみます。
2000年ごろから北京の街の中のいたる所で「北京でオリンピックを開催しよう!」というスローガンが掲げられました。オリンピックを北京で開催し、成功させようという雰囲気が醸成されていきました。その当時、対抗馬は日本の大阪でした。しかし大阪の盛り上がりの様子はほとんど聞こえて来ず、むしろ冷めているという感じしか伝わってきませんでした。
中国では国を挙げてオリンピック招致に向けた活動が活発に行われました。その極め付けは国際オリンピック委員会(IOC)が北京に調査に来たときのことです。北京には故宮を取り巻く形で当時は2環路、3環路、4環路がありました(現在は5環路、6環路まであります)。これらの環状線を繋ぐ形に放射状に道路があります。このうち空港から市街地に入ろうとすると必ず2環路や3環路を通ることになりますが、この道路の周辺にはもう50年以上も前に作られた古いアパート群が林立しています。そこで、北京市政府が取った策は、IOCの車列が通る道筋にあるアパートの外装のペンキを全て塗り替えたのです。道路を跨ぐ横断陸橋やその手すりもピカピカに塗り立てました。こうして、IOCのメンバーが乗る車の窓から見た北京の景色は、白や黄色の出来立てのマンション群のある素晴らしく美しい街並みだったのです。そのほか、見学コースに入っている建物や建造物にも同じような施策が取られました。
結果はすでにご承知の通りです。2008年に北京でめでたく開催されました。北京開催が決まったのは、2001年7月13日の夕方でした。たしか午後9時すぎだったと思います。私は駐在を終えて日本に帰国する準備をしている時でした。片付けや荷造りのために家内も来ていました。二人で夕食を済まして寛いでいると、突然マンションの下のほうから「ワーッ!」という叫び声とともに、バン、バン、バーンという凄まじい爆発音が聞こえて来ました。私と家内は、暴動でも起こったのではないかと思ってマンションの窓から恐る恐る下を見ますと、みんなで爆竹を鳴らしているのでした。北京市内では、春節の時も爆竹は禁止されています。しかし、この日は特別でした。みんなで爆竹を鳴らし、手を取り合って飛び跳ねているのです。
日本の大阪は国民の盛り上がり方の差で北京に負けたと思います。2016年のオリンピックはリオデジャネイロオに決まって、東京は負けました。2008年から2009年にかけての東京の雰囲気は、私がいた時の北京の盛り上がりのかけらもありませんでした。

北京に話を戻します。オリンピック開催が決定した次の日、北京日報の号外が配られました。
オリンピック決定.jpg

写真の下に書いてある文章は、「1300万の北京人、13億の中国人はついに望みを実現」と書いてあります。その次の赤と青の大文字は、「北京は2008年オリンピックの開催権を獲得」と書いてあります。この文章を見て感じることがあります。2008年のオリンピック開催は自分たちが勝ち取ったものであるというニュアンスが色濃く出ていることです。あくまで、与えられたものではなく、勝ち取ったもの、戦いの成果であるという認識です。平和ボケした日本人には違和感のある表現かも知れません。
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コメント 4

めぇてる

ご訪問ありがとうございます♪
また遊びにきます[わーい(嬉しい顔)]
by めぇてる (2011-02-01 01:27) 

あっきー

ご訪問とnice!ありがとうございます。

by あっきー (2011-02-01 09:09) 

六日のアヤメ

オリンピックは本来アマチュアスポーツの祭典ですが、競技施設・宿泊施設・交通網の発達・・治安が安定してる事が必要ですし、成功すれば政治的・経済的・文化的にも一流国家として認められるということです。そのために国の威信と名誉をかけてオリンピックを開催するのでしょう。中国は形として一党独裁政治ですし、国民の意思統一を図れること・又国民性として華やかなことが好きな民族・・・16年前私の所属している合唱団は、上海で現地の音楽の学生達ととジョイントコンサートをしました。横浜と上海は姉妹都市なので、文化交流の一環として行けたようでした。はたして観客が入るかどうか心配していましたが、満席の観客から凄い拍手終わることができでほっとした思い出があります。上海の文化関係者との公式晩餐会・家庭訪問・学校訪問など公式の行事をこなすことができました。観客動員や見学コース・訪問先など良く計画されたことでしょう。
by 六日のアヤメ (2011-02-01 17:28) 

GGI

たくさんのnice!ありがとうございます。
めぇてるさん、あっきーさん、ご丁寧なコメントありがとうございます。
六日のアヤメさん、コメントありがとうございます。そうですね、中国は一度方針を決めるとまっしぐらですね。方針がころころ変わるどこかの国とは違いますね。この点は学ぶべきだろうと思います。
by GGI (2011-02-01 23:07) 

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